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二要因理論とは〜労働環境を良くてもモチベーションが高まるとは限らない!?〜

二要因理論

会社にとって従業員のモチベーションを高めることは重要な課題です。

100%とは言い切れないものの、やる気が高い方がより集中して主体的に働けるので、より良いパフォーマンスを出せる可能性があります。

モチベーションを高めるための理論にはいろいろとありますが、今回は「二要因理論」というものをご紹介します。

批判的意見もある二要因理論ですが、使用する状況や相手を見極めればとても役立つでしょう。 

ハーズバーグの二要因理論とは

二要因理論の概要

二要因理論とは、米の臨床心理学者ハーズバーグが提唱したモチベーション理論です。

モチベーションに関わる要因を「動機付け要因」と「衛生要因」に分けていることから、二要因理論は「動機付け=衛生理論」とも呼ばれます。

ハーズバーグの二要因理論の特徴は、仕事において「満足をもたらす要因(動機付け要因)」と「不満をもたらす要因(衛生要因)」は全く別物であり、モチベーションを高めるには「満足をもたらす要因」を満たす必要があるとした点です。

言い換えると、「不満をもたらす要因を極力排除しても、従業員のモチベーションを高める効果はほとんど期待できない」と二要因理論では言っています。

不満をもたらす要因を改善しても、あくまで仕事に対する不満が解消されるだけというのが、他の理論とは一線を画しています。

「満足をもたらす要因(動機付け要因)」と「不満をもたらす要因(衛生要因)」の具体例

ハーズバーグは二要因理論を実証するために、直接働いている人に、仕事場で「良い感情を抱いた事柄・その理由」と「不快な感情を抱いた事柄・その理由」を質問してその答えを整理する、という研究を行いました。

調査の結果、満足をもたらす要因と不満をもたらす具体的な要因が、それぞれ以下のように分類されました。

動機付け要因

主な動機付け要因は以下になります。

  • 仕事の達成感
  • 仕事への責任
  • 上司や同僚からの承認
  • 昇進
  • 仕事そのもののやりがいや面白さ

二要因理論に基づくと、上記の要因が満たされれば、従業員のやる気は向上します。

例えば仕事にやりがいや面白さがあったり、仕事の結果が昇進などに結びついたりすれば、従業員のモチベーションは向上します。

衛生要因

主な衛生要因は以下になります。

  • 会社の方針
  • 人間関係
  • 労働条件
  • 給与
  • 作業環境

二要因理論に基づくと、上記の要因が満たされていないと、従業員は仕事に不満を抱いてしまいます。

例えば仕事量の割に給与が安かったり、上司や同僚との人間関係が悪いと、不満を抱いてしまい、離職(転職)や生産性の低下などを招く恐れがあります。

衛生要因を満たしてもやる気は上がりませんが、かと言ってないがしろにするのも好ましくありません。

給与が不当に安かったり人間関係がギクシャクしている場合、どんなに動機付け要因を満たしていても、長期的に好き好んで働きたいとは思いませんよね。

よって衛生要因は、モチベーションの向上とは別に最低限満たすべきでしょう。

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二要因理論に基づくモチベーションを高める方法

動機付け要因(仕事への達成感など)を高める具体的な方法として、職務充実というものがあります。

職務充実とは、普段の仕事に計画や準備、管理などの内容を加え、権限と責任の度合いを大きくすることで、仕事そのものの質を充実させる方法です。

仕事の量を増やすのではなく、権限や責任の度合いを大きくするので間違えないように注意が求められます。

要するに、自分の意思で行える業務の範囲を拡大させることで、やる気の向上を図るのです。

会社内でモチベーションが低そうな従業員がいたら、一度職務充実にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

二要因理論には批判的な意見も・・・

一見すると至極真っ当に見えるものの、ハーズバーグの二要因理論には批判的な意見もあります。

この章では、二要因理論への批判的な意見を2つ取り上げるので、実務で用いるべきか決める際の参考にしてください。

批判1:二つの要因をはっきり分類できない

ハーズバーグは動機付けの要因と不満を抱く要因が別であると言いましたが、「必ずしもそうであるとは言い切れないのでは?」という批判があります。

例えば「給与」は衛生要因(不満をもたらす要因)に分類されていますが、たくさん給与をもらえるほどやる気が高くなる人は多いです。

あくまで動機付け要因と衛生要因に分かれるという傾向が見られるだけであり、必ずしも何がどんな要因であるとは言い切れません。

人によっては動機付け要因が衛生要因となったり、その逆もあることを踏まえた上で、二要因理論を用いるのが大事です。

批判2:モチベーションを高めても生産性の向上につながるとは限らない

全てのモチベーション理論に言えますが、「やる気の向上が生産性向上につながるとは限らないのでは?という批判もあります。

企業がより多くの利益を生み出すには、大規模な投資などを行わない限り、一人当たりが生み出す利益を増やす必要があります。

つまり生産性を向上させる必要があるのですが、モチベーションが高いからといって生産性が高いとは必ずしも言い切れません。

例えばモチベーションは低いけど、その仕事が得意であるがゆえに生産性が高い人もいるでしょう。逆も然りで、やる気だけは高いけど、全く結果に表れない人も少なからず存在します。

やる気を高めたからといって、必ずしも生産性が向上するとは限らないので注意です。

二要因理論のまとめ

二要因理論には、動機付け要因と衛生要因をはっきり区別できないなどの批判もあり、とても有用なモチベーション理論であるとは思われていないのが現状です。

しかし一方で、給与や人間関係の面に問題がなくても、なぜかモチベーションだけは低い社員がいる場合には、二要因理論の動機付け要因を高めると効果的かもしれません。

使うタイミングや相手などは選ぶものの、覚えておいて損はない理論だと思います。